めまい

「めまい」とは

  • めまいとは、「体のバランスがうまく取れない状態」のことです。
  • 回転性(天井がまわるよう)、動揺性(ぐらぐら揺れるよう)、浮動性(ふわふわ浮くよう)など、何らかの動きを伴うことが多いですが、広い意味ではバランスが取れない不安感や、頭から血が引く感じ、目の前が真っ暗になる感じなども含まれます。
  • めまいに吐き気を伴うことは決して珍しくないので、吐き気はめまいの重症度の指標にはなりません。

めまいの種類

末梢性めまい(6~7割):耳が原因

例)良性発作性頭位めまい、メニエール病、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴

 

中枢性めまい(1~2割):脳が原因

例)聴神経腫瘍、脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血(椎骨脳底動脈循環不全)

 

めまい症(約2割)

例)起立性低血圧による立ちくらみ、貧血、低血糖発作、薬物中毒、不安神経症など

 

  • 耳鼻咽喉科では主に末梢性めまいを診療します。
  • 中枢性めまいは脳神経外科、めまい症は内科や神経内科、精神科が治療の中心になることが多いです。
  • 検査をしてもはっきりとした原因や病名が分からず、確定診断に至らないことも珍しくありません。

頭痛や、手足のしびれ・麻痺などを伴うめまいは危険な「中枢性めまい」の恐れがあります。まず脳神経外科や救急外来を受診してください。

 

末梢性めまい

末梢性めまいの特徴

  • 激しいめまい発作であっても命にかかわることはありません。
  • 目をつぶるとめまいが強くなることが多いです。
  • 蝸牛症状(難聴や耳鳴り)を伴うこともありますが、伴わないこともあります。
  • 安静にしたほうが良い場合がほとんどですが、良性発作性頭位めまいの場合はむしろ動いたほうが早く治ります。
  • 激しいめまい発作でも、末梢性めまいの発作は必ず改善します。

 

① 良性発作性頭位めまい

  •  頭を動かすと数十秒~数分程度の回転性めまいを生じます。潜時がある(頭を動かして眩暈が起きるまで少し間がある)のが特徴です。
  •  三半規管に石が浮き、頭をうごかすたびに石が動いて三半規管が刺激されるために起こります。
  •  難聴や耳鳴りを伴うことはありません。
  •  放置していても通常2~3か月で軽快します。
  •  じっとしているよりもむしろ動いたほうが早くめまいが治るといわれていますが、めまい発作による転倒や車の運転などには注意が必要 です。
  •  抗めまい薬の内服でめまい感を和らげることができるますが、めまいの消失時期を早めることはできません。

 

② メニエール病

  • 「難聴や耳鳴り」を伴う「回転性めまい発作」を「反復する」病気です。
  • 内科などで安易にメニエール病と診断されていることがありますが、聴力検査を行わずに診断するのは非常に困難です。また、難聴や耳鳴りを伴わないめまいや、1回だけのめまいをメニエール病と診断するには専門的かつ慎重な判断が必要です。
  • めまい全体の約1割を占め、30~40歳代に多く、男女差はありません。
  • 肉体的・精神的ストレス、疲れが発症の引き金になることが多いようです。
  • 三半規管のむくみ(内リンパ水腫)が原因といわれています。
  • 多くが回転性めまいですが、約20%は浮動性めまいを訴えます。
  • めまいはほとんどが20分以上で、半数以上が1時間以上続きます。
  • 発作を繰り返すたびに聴力低下が進行することがあり、定期的な聴力のチェックが大切です。
  • 発作時はストレスを避け、安静にする必要があります。
  • 発作を繰り返すうち、疲れがたまってくると発作が起きそうな感じが分かってくるようになったり、それ以上無理をしないようにすれば発作を避けることがある程度できるようになることもあります。
  • 聴力低下があれば突発性難聴に準じてステロイドを中心とした治療を行います。
  • 利尿薬(内リンパ水腫の治療)、抗めまい薬(めまい感の緩和)、ビタミンB12製剤(神経の修復に用いられるビタミン)、ATP製剤(内耳の代謝更新)、漢方薬なども用いられます。

 

③ 前庭神経炎

  • 突然に激しい回転性めまいが出現します。
  • その際に蝸牛症状(難聴、めまい)は伴わないのが特徴です。
  • 原因不明ですが、前庭神経といわれる平衡感覚の神経がウイルスによって炎症を起こすことが原因ではないかといわれています。
  • 数日たつとめまい発作は落ち着き、2~3週間でほぼ完治します。
  • 治療はステロイド(炎症を抑える)、抗めまい薬、ビタミンB12製剤、ATP製剤などを用います。
  • めまい発作が強い間は安静が必要です。 

 

④ めまいを伴う突発性難聴

  • 突発性難聴とは、突然片側の耳に起こる、原因不明の難聴のことです。
  • 突発性難聴の多くはめまいを伴いませんが、めまいを伴う場合は突発性難聴の中でもより重症型とされています。
  • 発症後できるだけ早く、ステロイドを中心とした治療を行うことが大切です。

中枢性めまい

中枢性めまいの特徴

  • 脳出血や脳梗塞などの危険なめまいが含まれます。
  • 浮動性めまいが多く、末梢性めまいに比べ軽いことが多いとされていますが、一概にはいえません。
  • 強い頭痛や、脳幹神経症状(飲み込みにくさ、ろれつが回らない、顔・手足のしびれや脱力など)を伴うときには頭部の精査が必要です。

 

① 聴神経腫瘍

  • 発生頻度は10万人から5万人に1人といわれています。
  • 片側の蝸牛症状(難聴、耳鳴り)が主な症状であり、これにめまいを伴うこともあります。
  • 難聴、耳鳴りが次第に進行する場合、聴神経腫瘍の存在を疑います。
  • めまいは持続的な動揺性めまいが中心で、さほど重篤でないことが多いです。
  • 診断には頭部MRI検査が有効です。
  • 治療として手術療法や放射線治療が行われるますが、年齢などを考慮して無治療で経過観察することも珍しくありません。

 

② 脳出血、脳梗塞

  • めまいに伴って激しい頭痛があるときは小脳出血やくも膜下出血の可能性があり、緊急を要します。
  • 脳出血の場合、発症初期に意識障害を伴うことは少ないですが、のちに急速に意識障害が進行することがあるので注意が必要です。
  • 飲み込みにくさ、ろれつが回らない、顔・手足のしびれや脱力を伴うときは脳幹部の出血や梗塞が疑われます。

 

③ 一過性脳虚血(椎骨脳底動脈循環不全)

  • 高齢者のめまいでは、まず椎骨脳底動脈循環不全を疑います。
  • 数秒から数分の回転性めまいのみで発症することがあります。
  • めまいの持続時間は数分以上とやや長く、脳幹神経症状(飲み込みにくさ、ろれつが回らない、顔・手足のしびれや脱力など)を伴うことが多く、めまい症状のみが1か月以上続くことは少ないなどの特徴があります。

めまい症

めまい症の特徴

  • 非前庭性めまいとも呼ばれます。
  • 眼科的、内科的(血液疾患、循環器疾患、内分泌疾患、内分泌および代謝疾患)、婦人科的、精神科的なものなど、原因は多岐にわたります。

 

① 起立性低血圧によるたちくらみ

  • 自律神経障害による起立性低血圧のため、脳への血流が保たれずに生じる立ちくらみをめまい感と感じることがあります。
  • 目の前が真っ暗になるように感じられるのが特徴です。
  • 診断のためには、シェロング試験(寝ているときと立っているときの血圧、脈拍の変化を調べる)を行います。

 

② 貧血、低血糖発作

  • 消化管出血などの急性に生じた貧血で、めまい感を感じることがあります。
  • 糖尿病治療中に起きやすい低血糖発作(冷や汗、動機、手指のふるえ)にめまい感を伴うことがあります。

 

③ 薬剤性めまい

  • 抗けいれん薬の過量投与でめまいを生じることがあります。
  • 降圧剤、抗うつ剤、抗パーキンソン薬による、二次的な起立性低血圧にも注意が必要です。
  • 抗生剤、利尿薬、鎮痛剤など、副作用としてめまいが報告されている薬剤は多岐にわたっています。

 

④ 心因性めまい

  • 耳、脳、その他に明らかな異常がないにも関わらず、めまい感を訴え続ける場合、心因性めまいを疑います。
  • 若い女性に多い不安障害や、うつ病などで、めまい感を伴うことが多いとされています。
  • 精神科や心療内科で適切な治療を受けることで改善が期待できます。

皆さまに愛される、親しみやすいクリニックを目指して頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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